全国食品ロス削減研究会

「全国食品ロス削減研究会」 設立趣意書

現在、食料のロスと廃棄をめぐる状況は、世界的に深刻化しており、これらがもたらす環境への影響は、社会問題になっている。とりわけ、食料の多くを輸入に依存し、その依存を政策的に軽減しようとしている我が国が、一方で、大量の食料をロスし廃棄することは、深刻度合いが大きい課題といえる。

FAO(国際連合食糧農業機関)は、「世界の食料ロスと食料廃棄(Global Food Losses and Food Waste)」の発表によって、世界の食料生産量のおよそ3分の1である年間13億トンもの食料が失われ、廃棄されているという問題を提起した。この資料が発表されたのは、2011年6月であり、我が国が未曾有の大災害である東日本大震災から立ち直ろうとしている時期でもあり、我が国の食品ロスの発生状況が更に注目されることになる要因の一つにもなった。

その後、2015年9月、国連持続可能な開発サミットにおいて「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030年アジェンダ」が採択されており、このアジェンダである17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGS)」で「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たり食品廃棄物の半減、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品損失の半減」が示されている。このことが、現在の世界的食品ロス削減機運を醸成しつつあり、我が国の食品ロス削減の取り組みにも影響を与えていると言えるだろう。

上記の状況下にあって、我が国の食品のロスと廃棄に関する取り組みや研究は、「食品ロスの削減に向けた検討会」(農林水産省2008年開始)を経て、2013年「食品ロス削減国民運動」(農林水産省など6つの府省が主体)が開始されており、今後、国民への浸透を含めた展開が期待されるところである。

一方、食品ロス削減と生活困窮者自立支援、地域再生などを趣旨として、近年、活動が活発になっているのがフードバンク事業であり、現在、100以上のフードバンク団体が国内で活動しているとみられ、国民レベルでの食品ロス削減に取り組んでいる。

このような背景のもと、我々研究会は、我が国の政治的・経済的状況や、国民の消費動向、環境の変化および、食に関する価値観の変化などに基づいて、食品のロス・廃棄の発生状況、食品ロス削減方法の在り方、フードバンクの在り方・運営方法などについて、地域に密着した検証を行い、合わせて、他地域の事例や海外の状況などに基づいた臨地研究を実施することにより、将来にわたり食品ロス削減と地域再生に寄与することを趣旨として活動する。

2019年8月31日

全国食品ロス削減研究会 発起人会

美作大学特任教授 原田佳子(社会福祉法人正仁会フードバンク事業あいあいねっと代表)
NPO法人eワーク愛媛 理事長 難波江任(えひめフードバンク愛顔代表)
NPO法人フードバンク岡山 理事長 糸山智栄
NPO法人フードバンク香川 理事長 土手政幸
NPO法人フードバンク山口 理事長 今村主税(山口県立大学 准教授)